クレジットカードを発行する際はたいてい、「国際ブランド」を選ぶことになります。
「国際ブランド」とは、カードの発行元とは別に、そのクレジットカードが世界中で利用できるよう、信頼を担保する決済システム、またはそれを提供している会社のことで、「VISA」や「Mastercard」などが代表的です。
この記事では、海外旅行に持っていくクレジットカードは、どの国際ブランドを選ぶのが正解なのかを徹底解説します!
この記事で解決する主な疑問
Q1
クレジットカードの国際ブランドは何を選ぶべき?
A1
1枚目ならVISAがおすすめです。2枚目以降は、異なる国際ブランドのものを持っておくようにしましょう。
A2
決済に利用できる店舗や、キャッシングが行えるATMの数やどの地域で利用できるのか、適した用途などが微妙に異なります。
クレジットカードの国際ブランドとは?
クレジットカードは、
発行会社が国際的な決済機構と契約を結美、その信用性とシステムを借りることで、決済が可能になっています。この国際的な決済機構を「
国際ブランド」と呼びます。
クレジットカードを発行する際、この「国際ブランド」をどれにしたらよいのか迷ってしまいますよね。この記事では、クレジットカードの国際ブランドについて徹底解説します!
複数の国際ブランドカードを持っておくのがおすすめ
クレジットカードは、
異なる国際ブランドのものを複数枚所持しておくのがおすすめです。
クレジットカードは、国際ブランドが提供する決済システムを「加盟店」と呼ばれるそれぞれのお店やサービスが導入することによって利用できる仕組みになっています。
つまり、どのようなクレジットカードであっても、
利用するお店やサービスがそのカードの国際ブランドの「加盟店」ではなかった場合、そこでは使えない、ということになってしまいます。
「国際ブランド」はその名のとおり国際的に普及している決済システムの提供元ではありますが、その加盟店数はブランドによって大きく異なります。そのため、
初めてのクレジットカードやメインで利用するカードは加盟店数が多い国際ブランドを選ぶのがおすすめです。
また、メインのカードが加盟店ではなかった場合などを考えて、異なる国際ブランドのカードを複数所持しておくとよいでしょう。国や地域によってどの国際ブランドの加盟店数が多いかも異なります。
国際ブランドによっては、独自のサービスを付帯しているものもあります。海外旅行にぴったりのサポートがついているものもあるので、そうした観点から2枚目、3枚目のカードを選ぶのもおすすめですよ。
1枚目のクレジットカードならVISA
はじめてクレジットカードを作る、生活費など日常的に決済に利用する場合におすすめの国際ブランドはVISAです。
普及率が高い
VISAは、世界ナンバーワンのシェア率を誇る国際ブランドです。加盟店数も世界最多の国際ブランドとされています。
利用者も非常に多く、2016年に発表されたデータでは、2015年に全世界で行われたクレジットカード・デビッドカードの決済のうち、54.06%はVISAによるものでした。
参考: The Nilson Report(英語)
1958年にアメリカで誕生し、日常的に使えるクレジットカードとして利用者と加盟店数を伸ばしてきました。現在は、世界200ヶ国以上に国際ブランドで最多の加盟店を有しています。
クレジットカードは、国際ブランドがライセンス契約を行って決済システムを提供するクレジットカード会社(=イシュアー)が発行しています。加盟店へ商品代金の立替払い、取引データをカード管理会社に送付するなどの役割を果たしているのは、加盟店統括会社(=アクワイアラー)です。つまり、国際ブランドは加盟店と直接の関係はありません。そのためか、VISAの加盟店数は公になっていません。
ただし、日本では、イシュアーがアクワイアラーを兼ねていることも多くあります。また、後述する国際ブランドの中には、この3つの業務をすべて自社で行っているものもあります。
キャッシング用ATMが多い
海外旅行の際には、現金を日本から大量に持ち出すのは防犯上危険ですし、両替は手数料が割高のため、クレジットカードに付帯しているキャッシング機能を利用するのが便利です。
VISAの提供するキャッシングサービスのATMは、世界200カ国以上で270万台以上が稼働しています。
VISAのクレジットカードがあれば、まずどこの国や地域であっても安心ですよ。
独自の優待サービスも提供
VISAは決済システムを提供する決済機構であり、自社でクレジットカードの発行は行なっていませんが、
発行会社が提供するサービスとは別に、クレジットカードに優待サービスを付帯させています。
ポイントアップや割引などを用意しており、海外旅行をおトクに楽しめるキャンペーンも行なっていますよ。詳しくは
こちら(VISA公式サイト)をご覧ください。
VISA以外の国際ブランド解説
Mastercard
Mastercardは、1966年にアメリカで生まれた国際ブランドです。
VISAに次ぐ普及率
VISAに次いで広く普及しており、加盟店数が多いとされています。
残念ながらVISA同様に明確な加盟店数は明かされていませんが、全世界210の国と地域で利用されています。
2002年にドイツの「ユーロカード」と合併したことから、ヨーロッパの加盟店数が多いと言われていますが、現在では他の国や地域でも広く普及しています。
「お金で買えない価値」を提供
MastercardはVISA同様、決済システムの提供のみを行っており、自社でカードは発行していません。しかし、Mastercardのクレジットカードを持つ会員向けに優待サービスを提供しています。
詳しくはこちら(Mastercard公式サイト)をご確認ください。
JCB
JCBは、1961年に生まれた日本発の唯一のクレジットカード国際ブランドです。
提携多数で利用可能シーンを増やしている
発行・利用がされているのは22の国と地域であり、VISAやMastercardに比べ普及率は劣りますが、加盟店数は約3,000万店であると発表しています。
また、他の決済機構と提携して利用可能な店舗を増やしています。
American Expressと提携しオーストラリア、ニュージーランド、カナダでの利用を可能にし、アメリカではDiscover Financial Servicesと加盟店解放(※)の提携を結んでいます。中国で非常に高い普及率を誇る銀聯とも相互に提携しています。
※Discover Financial Servicesの加盟店でJCBのクレジットカードが利用できるということ。
旅行や娯楽の場面に特化したサービス
JCBはVISAやMastercardと異なり、国際ブランドでありながら自社でもクレジットカード(=プロパーカード)を発行しています。決済の利便性を重視し日常生活に寄り添うVISAやMastercardと異なり、「T&Eカード(Travel & Entertainmentカード)」と呼ばれ、旅行や娯楽の場面で活躍するサービスやキャンペーンを多数提供しているのが特徴です。
JCB会員限定の旅行会社を有しているなど、旅のサポートが万全です。日本人の渡航者が多い国には、サポートデスクも設置しています。
詳しくはこちら(JCB公式サイト)をご確認ください。
American Express
American Expressは、1850年にアメリカで創業し1958年からクレジットカードを発行している老舗です。通称「
AMEX(アメックス)」と呼ばれています。
ステータスカードとして知られている
AMEXもJCB同様に自社でもクレジットカードを発行しており、高いステータスを示すカードとして知られています。
かつてはAMEXが自社で発行するプロパーカードは、一般カード(通称「グリーンカード」)でもゴールドカード並みの審査の厳しさだと言われていました。
VISAやAMEXに比べると、利用可能な店舗数は限られると言われていますが、他社よりもワンランク上のサービスを提供しています。
日本国内では加盟店数の多いJCBと提携しておりJCBの加盟店であればAMEXが利用できるシステムとなっているため、普段の生活ではAMEXが使えなくて困る、ということはあまりありません。
海外旅行にぴったりのサービスを提供
AMEXも、JCBと同様、旅行や娯楽の場面に特化した「T&Eカード(Travel & Entertainmentカード)」の一つです。
他の国際ブランドのクレジットカードに比べ年会費が高い傾向にありますが、その分優待は非常に手厚く、旅行の予約や手荷物無料宅配サービスなども提供しています。詳しくはこちらをご覧ください。
海外旅行に頻繁に出かける人であれば、持っておいて損はないでしょう。
Diners Club
Diners Clubは1950年に誕生した最古のクレジットカード国際ブランドです。AMEXと同様、JCBと提携しているため、日本ではJCBの加盟店で決済に利用することができます。
世界最高峰のハイステータスカード
AMEXと並んでハイステータスカードとして知られており、もっともグレードの低いカードであっても、他社のゴールドカード並みの収入と社会的身分が求められるとされています。
審査基準が厳しく年会費も他の国際ブランドのクレジットカードに比べて高いため、優待は群を抜いています。旅行のサポートも手厚いのが特徴です。例えば、一般カードでも所有しているだけで無料で空港ラウンジを利用することができます。
詳しくはこちら(Diners Club公式サイト)をご覧ください。
また、北米やカナダではMastercardとの提携を進めており、利用可能な店舗を増やしています。
銀聯(Union Pay)
銀聯は中国中央銀行が主導して作った中国銀聯が提供する決済システムの国際ブランドです。
次なる国際ブランドへ
中国ではキャッシュカードが銀聯のデビッドカードを兼ねているため、VISAやMastercardを超えた非常に高い普及率を誇っています。
アメリカ合衆国・大韓民国・タイ・シンガポール・ドイツ・フランス・オーストラリアなど、約20カ国に加盟店を増やしているため、国際ブランドに成長しつつある、ということができるでしょう。日本でも、中国からの訪日観光客が増加しているため、加盟店が増えています。
日本では現在、三井住友カードや三菱UFJニコスと提携しているため、同社の発行するクレジットカードのオプションとして申し込むことができます。中国へ渡航するのであれば、用意しておいてもよいでしょう。
Discover card
Discover cardは、アメリカを中心に展開している国際ブランドです。近年では、メキシコ、コスタ・リカ、マーシャル諸島などに加盟店を広げています。
日本では発行できない国際ブランド
先述のとおり、JCBと加盟店の相互開放を行なっているため、JCBの加盟店であれば(一部の店舗を除き)、Discover cardのクレジットカードを利用することができます。また、銀聯とも加盟店相互開放を行なっています。
ただし、Discover cardのクレジットカードを発行する企業は現在日本国内に存在しないため、私たちの生活には直接関わる機会のない国際ブランドだと言えるでしょう。
まとめ
国際ブランドは、クレジットカードの決済システムのことでしたね。
加盟店でなければ利用することができないため、
はじめてのクレジットカードは、世界最高の普及率を誇るVISAもしくは、発行したいクレジットカードにVISAがなかった場合はMastercardを選ぶがおすすめです。
既にVISAのクレジットカードを持っている方であれば、VISA以外の国際ブランドが付帯したクレジットカードを持つことで、クレジットカードを使えるシーンを広げることができるかもしれません。
また、クレジットカードには発行会社だけでなく、国際ブランドが提供する優待やサービスもついてくるため、2枚目、3枚目のカードとしてJCB・AMEX・Diners Clubなどの旅行や娯楽で活躍してくれる「T&Eカード(Travel & Entertainmentカード)」を持っておけば、海外旅行の際にしっかりとサポートしてくれますよ。