カナダは最も人気の高い留学先だ。都市が発展しているが豊かな自然も多く、居心地が良くて住みやすい。そんなカナダで長期的に働きたいと思う人は少なくないだろう。

この記事では、カナダで仕事をしたい人に必要な情報をまとめた。

カナダの仕事事情

(HowTravel編集部)

●現在の求人マーケット事情

カナダの失業率は年々低下しており、雇用率も約60%と安定している。世界的に見てもカナダは住みやすい国と言われており、生活水準の良さは世界1位、新規ビジネスの開拓もしやすい国として知られている。

そのため就職先としても人気が高く、英語に自信があるというだけではなかなか希望の職に就くことはできない。雇用率が増えているとは言え、もちろん、カナダの企業が最も雇いたいのはカナダ人だ。大事なのは、専門性の高いスキルを持っていること。また、インターンシップやボランティアの経験があったり、コネクションがあるとなおよい。

社会人経験、あるいは特別な学歴がない限り、カナダの会社で働くのは難しいと思っておくといいだろう。一方で、カナダは人気のワーキングホリデー先でもある。カフェやアパレルショップなどのアルバイトはすぐに決まるケースもある。

●給与や労働時間等の条件

①給与
フルタイムの正社員の場合、平均時給は約28CAD(約2,300円)、平均年収は7,700CAD(約640万円)と日本よりかなり高い。とは言え、これはカナダ人の平均給与である。日本人の場合はほとんど平均を下回るのが現状だ。もちろん、会社への貢献度が高まれば昇給の可能性が見込めるので、日々精進しよう。

②勤務形態
カナダでは仕事とプライベートをきっちりと分けている人が大半のため、残業や休日出勤はほとんどないと思っていい。勤務時間は8〜16時、9〜18時など。

③福利厚生
有給は3週間以上保証されていて、消化率も高い。使い切らないまま退職した場合は会社側が買い取ってくれるケースもある。有給休暇以外にも、産休休暇や病気休暇、ストレスを解消するためのストレス休暇などがある。

カナダで仕事をするうえで必要な能力

英語のスキル

●語学力

カナダで就職を勝ち取るには、当然確かな英語力を持っていることが絶対条件だ。どんなに優れたスキルを持っていても、英語でのコミュニケーションが拙いのであれば、同等かそれに近いスキルを持っているネイティブを雇ったほうがよっぽどいい。求人情報に具体的な英語力の条件を記載している会社はほとんどないが、それは英語力が高いことが前提にあるからで、英語力を求められていないということではない。

英語力が高いというのがどういうことなのか、その判断は難しいところだが、最低でもIELTSであれば6点、TOEFLであれば60〜78点以上取れるようになっておくと一般的なレベルと言っていいだろう。英語力の低さをカバーできるスキルがあればこの限りではないが、英語力はあるに越したことはない。

●学歴

カナダでは、学歴も採用基準に入る。日本での学歴はよほどのことがない限り意味がない。カナダの学歴は以下のように分かれている。応募資格に「学士号以上」と書かれていたり、「ディプロマのみ」と書かれていたりする。カナダでの学歴がない場合は、職歴やその他の経歴、スキルで勝負しよう。

学位 概要
Certificate(サティフィケート) 特定学科の修了資格
Diploma(ディプロマ) 准学士号 特定学科の修了資格
Bachelor’s Degree(バチェラー) 学士号 大学学部修了資格
Master’s Degree(マスター) 修士号 大学院前期課程修了資格
Doctor of Philosophy(ドクター) 博士号 大学院後期課程修了資格

●職歴

カナダでは最初に就職する会社を探すのが一番むずかしいと言われているように、どの業界でも即戦力が求められる。カナダの学生のほとんどは在学中に興味のある会社でインターンシップを行い、そこで能力が認められると採用されることになる。新卒、中途といったくくりはないので、社会人経験が全くない場合は就職がかなり難しい。

職歴がある場合は、具体的にどんな仕事をしてきたのか、その経験が希望する会社でどのように活かせるか、を明確にしよう。あたり前のことだが、大事なのは会社名ではなく経験内容と身につけたスキルだ。

カナダでの仕事の見つけ方


英字新聞

●仕事の探し方

①インターネットを使う
LinkedIn
ビジネス用SNS。ビジネスに関する自分の情報を登録することで、仕事のオファーが来ることもある。

Job Bank
カナダ政府が運営する求人サイト。

Kijiji
求人情報だけでなく、賃貸の情報なども載っている。

JPカナダ
日本人向けの情報サイト。ワーキングホリデー向けの求人が多い。

②新聞・雑誌を使う
カナダの新聞や雑誌には、classifiedという情報欄に求人情報が掲載されている。現地で就職活動をする場合にはぜひ活用してほしい。次のような新聞、雑誌がある。

・metro
・Georgia Straight
・NOW magazine

③人脈を使う
採用への一番の近道と言える。カナダではコネクションを重要視しているため、知人や友人の紹介は非常に有効的だ。カナダでは大々的に採用を行わないことも多く、そういった隠れた求人情報は人づてでないと知ることができない。SNSを使ってカナダでの就職に結びつきそうな人を見つけて連絡したり、自分が仕事を探していることをアピールするのは大事なことだ。

④直接履歴書を持っていく
日本人には抵抗があるかもしれないが、カナダでは珍しくないのがこの履歴書の持参である。特にアルバイトであれば、履歴書を持っていったタイミングがちょうどよく即採用、というケースも珍しくない。英語力の向上にもつながるので、臆せずチャレンジしよう。

⑤駐在員になる
カナダに支社を持つ日本の会社に就職し、駐在員を目指すのも一つの手だ。駐在員は給与もいい。カナダは人気の駐在先なので競争率は高くなるが、個人では取得が難しい労働ビザの取得を会社が全面的にサポートしてくれるという最大のメリットがある。

⑥転職エージェントに相談する
現地の求人サイトや、現地在住日本人向けの情報サイトで求人情報を探すことで、理想とする就職先が見つかる可能性は大いにある。しかし、それらの求人情報は自国民、またはすでに永住権や就労ビザを取得している人が対象である場合が多く、まだビザを取得していない人や、カナダでの就職活動の知識が乏しい人には難易度が高いケースがほとんどだ。

そこでおすすめしたいのが、転職エージェントに相談するという方法だ。経歴やスキル、希望の条件や将来の展望に合った求人情報を提供してくれるだけでなく、経験豊富なエージェントであれば、履歴書の添削から面接対策を行ってくれるだけでなく、ビザの取得までサポートしてくれることもある。

以下の記事で、海外案件に強いお勧めの転職エージェントを紹介しているので、ぜひ参考にして欲しい。

●日本人が働きやすい職種

・カナダにある日系企業
・日本食レストラン
・ツアーガイド
・スーベニアショップ
・ホテル
など

カナダでは日本食の人気が高まっているため、特に日本食レストランは積極的に日本人を雇ってくれる。カナダの冬は極寒なので、ツアーガイドの場合、夏は無休で働き冬に長期休暇をとる、というケースもある。

●希望の仕事が見つかったら(面接や給与交渉)

①履歴書とカバーレターを用意する
就職活動をする上で最も重要になるのが履歴書とカバーレターだ。履歴書は主に経歴を、カバーレターには主に志望動機を書く。どちらも決まったフォーマットはなく、A4サイズ1枚程度におさまれば自由に書いていい。手書きではなくPCで作成しよう。スペルミスはご法度なので、できる限りネイティブにチェックしてもらうと良いだろう。

採用担当者は何枚もの履歴書とカバーレターを読むことになるので、なぜその会社で働きたいのか、会社にどれだけ貢献できるか、どんなスキルを持っているのか、そのスキルを具体的にはどのように活かしてきたのか、などを簡潔に、わかりやすくアピールしよう。カナダでは直属の上司となる人が採用担当者であることが多いので、人柄も伝わる内容だとなおいいだろう。カバーレターを読んでもらったお礼と、面接の依頼を書くことも忘れずに。

大切なのは、大げさに書くことを心がけること。日本人は良く言えば謙虚、悪く言えば自己アピールが下手な傾向にある。ライバルたちに勝つためには、自分の意見をハッキリと言うカナダ人から見ても、あなたという人材の魅力が大いに伝わるようにしなければならない。

ちなみに、日本の履歴書には必ず書く住所(住んでいる都市は必要)、性別、年齢は書く必要がない。写真も不要。アピールのために貼りたい場合は構わないが、マイナスに受け取られる可能性があることも頭に入れておこう。履歴書やカバーレターは何十通も送ることになるので、何度も書き直し、より良くしていくことも大事だ。

②面接を受ける
面接で重要なのは、自信を持って自分をアピールすることだ。緊張するだろうが、笑顔も忘れないようにしたい。カナダでは、謙虚な姿勢は全く評価されない。自分のスキルと熱意を積極的にアピールしよう。どんな質問をされても、ネガティブな表現ではなくポジティブな表現で答えることも大切だ。例えば、まだじゅうぶんではないスキルについて質問されたとしても、勉強中でまだまだ伸びしろがあることを伝えることで、あなたの意欲を評価してもらえるかもしれない。

採用に向けて話が進めば、希望給与にも話が及ぶだろう。その時のために、相場の給与を予め調べておこう。会社側は予算のレンジを設けているはずなので、そのレンジを越えた額を希望してしまうと採用が見送られることもあるだろう。弱腰になる必要はないが、採用されないのでは意味がない。給与交渉をする際には、あくまで双方の希望がマッチするように気をつけよう。

面接を受けた後は、メールでお礼を送るようにしよう。採用担当者はたくさんのメールを見ているので開封されないかもしれないが、もし目に止まったら好印象を得られてラッキーだ。

バンクーバー空港

就労ビザについて

●就労ビザの種類

カナダで働くことができる就労ビザは、大きく2つのタイプに分かれる。1つ目はオープン就労ビザ。これはどの雇用主の元でも働くことができる。2つ目はクローズド就労ビザ。オープンとは違い、ビザに記載された雇用主の元でのみ働くことができる。以下、タイプ別にビザを紹介する。

<オープン就労ビザ>
・ワーキングホリデービザ
18〜31歳未満、2,500CAD(約20万円)の資金がある、といった申請条件を満たしていれば誰でも申請することができ、ほとんどの場合は却下されることがない。ただし定員が決まっており、ワーキングホリデー先として人気の高いカナダはすぐに定員が埋まってしまうので注意が必要。(参照:Moving2Canada

・Post-Graduation Work Permit
通称ポスグラビザ。PGWPとも。カナダの公立大学、公立短大、または50%以上の公的資金が入っている私立学校を卒業している場合に取得できるビザ。就学期間と同じ期間のオープン就労ビザを取得できる。卒業後、90日以内に申請する必要がある。(参照:カナダ政府ウェブサイト

・Study Permit
通称学生ビザ。カナダの大学や専門学校、短大に通っている場合、週20時間まで働くことができる。学生ビザという名の通り、学校にフルタイムで通っていることが大前提なので、学校に通っていなかったり退学したりすると無効になる。また、銀行の残高証明を提出する必要がある。これは、学校に通いながら生活できる資産を持っているかどうか確認するためである。(参照:カナダ政府ウェブサイト

<クローズド就労ビザ>
・Work Permit
通称就労ビザ。クローズド就労ビザは、このワークパーミットのみ。ビザに記載されている職場、および雇用主の元でのみ働くことができる。つまり、ワークパーミットの発給には必ず雇用主の協力が必要になる。ワークパーミットの取得に協力してくれる雇用主を見つけることこそが最重要であり、最難関と言える。(参照:カナダ政府ウェブサイト

また、LMIA(Labour Market Impact Assessment)という審査をクリアする必要もある。この審査は、外国人を雇うことによってカナダの雇用市場に悪影響を及ぼす恐れがないかどうかを判断するためのものだ。有効期限は3年間で、延長も可能。ただし、延長する際には再度LMIAをクリアしなければならない。(参照:カナダ政府ウェブサイト

●就労ビザの取得方法

オープン就労ビザの取得は、申請条件さえ満たしていれば比較的容易である。問題はクローズド就労ビザ、つまりワークパーミットで、ビザの取得に協力する意志のある企業から内定をもらうことと、LMIAをクリアすることが非常に難しい。

カナダで長期的に働きたいなら、カナダの大学を卒業して就職するか、ワーキングホリデー、あるいは学生ビザを利用して現地での仕事経験を積んだり英語力を高めながら就職活動をする、という方法がいいように思う。もちろん、あなたが高度なスキルを持っている場合はワークパーミットの取得を目指してほしい。

世界で気にIT業界で活躍できる人材が不足していると言われているが、カナダも例外ではないので、プログラミング能力やソフトウェア開発の経験などがあれば、ビザのスポンサーとなってくれる企業を見つけやすくなるだろう。

カナダでの暮らし

カナダのマーケット
カナダの物価は日本とあまり変わらない。チップ文化があるので外食をしたりすると思ったより費用がかかってしまうこともあるが、家賃も安く、給与の水準も高いので、工夫次第で豊かな生活が送れるだろう。1ヶ月の生活費の一例は以下の通り。

出費項目 金額例
家賃 650CAD(約5万3千円)
食費(外食、チップ込み) 300CAD(約2万5千円)
携帯代 35CAD(約2,900円)
インターネット代 25CAD(約2,000円)
電気代 25CAD(約2,000円)
交通費、日用品費など 100CAD(約8,200円)

合計1,135CAD(約93,100円)

カナダには、雄大な自然やユニークな娯楽施設が数多くある。また多民族国家でもあり、様々な魅力を持った人々と出会うこともできる。経済的にも文化的にも発達しているこの国で、自分の希望やスキルに合ったかたちで働きながら刺激を受けてほしい。

カナダで働くことに興味があるのであれば、まずどのような案件があるかを確認しよう

ここまでカナダでの仕事の見つけ方について説明してきたが、希望通りにカナダで働くことができるかどうかは、結局のところ求人案件次第である。カナダで働くことに少しでも興味があるのなら、ひとまず海外の求人案件に強いサイトに登録して、自分の経歴や志向に合わせた案件を紹介してもらおう。エリアや職種、給与水準がある程度分かるようになれば、いっそう具体的にカナダでの働き方や実際の生活がイメージできるはずだ。

当然ながら、日本での求人に比べて海外求人案件は少ない。くわえて、求人サイト内で非公開となっているものも多い。なのでまずは複数サイトに登録し、それぞれのサイトの非公開求人を見てみることから始めよう。

海外の求人案件に強く、日本に拠点がある主な求人サイト・エージェントは以下の通り。

①JAC Recruitment

JACのウェブサイト

<サイトの特徴>
1975年イギリスで創業、コンサルタントの人数は約550名、業界最大規模の転職エージェント。世界10ヵ国で日系企業、外資系企業、各国のローカル企業などに対し人材紹介事業を幅広く展開している。スタッフレベルのポジション以上、年収500万円以上のスペシャリスト、マネジメント層、グローバル人材に向けた求人に特化していることが特徴。日系企業や日本法人のある外資系企業の、海外勤務案件や海外駐在案件が得意。

国名から求人情報を検索することもできる。各国のコンサルタントの知識とスキルが高く、利用者からの評判は極めて高い。

<サイトの利用方法>
まずは会員登録をして求人情報を探す。国ごとに求人情報を検索できるので、海外で勤務したい場合は国名から選ぼう。外資系企業やグローバルな人材を求めている企業の求人情報も豊富なので、語学力を活かしたい人や駐在員を目指している人は、コンサルタントにそのように伝えること。

自分の希望とマッチした求人情報が見つかったら、履歴書添削や面接対策、スケジュール調整などのサポートを受けながら採用選考を受けることになる。

JAC Recruitmentの公式サイトはこちら

②ロバート・ウォルターズ

ロバートウォルタースのウェブサイト

<サイトの特徴>
1985年にイギリスで設立された人材紹介会社。2000年には東京オフィス、2007年には大阪オフィスが設立され、現在では世界30ヶ国の主要都市にオフィスを構えている。キャリアアドバイザーは全員バイリンガル、中には外国人もいるので、転職活動をしながら語学力を磨くこともできる。

外資系企業、日系のグローバル企業の求人情報に強く、またスタッフレベル以上、年収500万円以上の高収入所得者に向けた求人情報が多いので、優れた職歴やスキルを持つ人材には特におすすめだ。履歴書の添削や面接の受け方の指導など、アフターフォローも充実している。登録した情報を元に、スカウトメールが届くこともある。

<サイトの利用方法>
外資系企業や日系のグローバル企業の求人情報が豊富なので、語学力やスキルを活かしてそういった企業に務めたい場合は、希望する職種や給与を元に求人情報を検索しよう。海外での就職を目指す場合は最初に会員登録をして、海外で働きたいことや希望の勤務地などをキャリアアドバイザーに伝えよう。勤務地が海外の求人情報は少ないので、各国の求人情報について熟知しているキャリアアドバイザーにまずは相談しよう。

ロバート・ウォルターズの公式サイトはこちら

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