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市民団体の暴走で混乱する韓国

(現地在住ライター キム・ヒョンジ

2015年12月28日に締結された日韓合意以降、紆余曲折は有ったが、日韓関係は改善する方向に向かっていた。

しかし2016年末、韓国釜山の在韓国日本領事館前に従軍慰安婦を象徴する少女像が設置された。この少女像は一時は撤去されたが、強い世論に押される形で容認され再設置された。この際、一部ではロウソク集会の大統領弾劾に勢いづいた行き過ぎた行動であり、感情のまま少女像の設置は好ましくないとする意見も有ったが、黙殺されたのだ。

次期大統領候補とされる面々もこぞって、パク・クネが締結した合意は無効であり、慰安婦合意の再協議をすると世論を煽り、各メディアも少女像設置を支持していた。

そこへ日本政府の報復措置の発表となり、韓国国内は動揺と混乱、一部の左派系メディアでは逆切れともとれる報道がされたが、韓国の三大紙と言われる新聞各社では、釜山日本領事館前の慰安婦像設置が、公館の安寧の妨害と威厳の侵害を防止する責務を定めたウィーン条約に違反している事や、重みある国家間の合意を無視した韓国の問題点も報道している。そして、この件に対して何ら対応できていない政府への批判で満ちている。

ネット上に有る市民の声も、慰安婦像設置時の勢いは後退しつつあり、合意をし10億円を受け取ったパク・クネへの批判が多い。これは、日本の正当性を認めていると言える。その他には、「少女像を設置した市民団体の後ろで手を引いているのは、北朝鮮と中国だ」「対米、対日関係を破綻させるための工作だ」という意見も有る。

いずれにしろ韓国が、国際社会において窮地におかれている事に変わりはない。大統領候補と言われている面々も、普段なら間髪入れずにSNSで持論を発信するのだが、日本の報復措置についての意見は未だ発信されていない。この件において不用意な発言が命取りになる事の表れだろう。市民団体の暴走が国を揺るがし、混乱させているのだ。

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