タイは東南アジアで一番日本人が住んでいる国だ。平成28年の外務省発表の海外在留邦人数調査統計によると、約6万7000人もの日本人がタイに住んでおり、この数は世界でも5番目に多い。タイは古くから日本企業が東南アジアに進出する際の拠点として選ばれており、日本人向けのレストランやスーパー、その他施設が数多くあり、物価が安いことも相まって、老後の移住先としても人気を博してきた。だが、移住した日本人がその後タイで幸せに暮らしているのか、それとも移住は失敗だったのか、その原因は何か等を伝える報道は少ない。そこで、タイの現地在住ライターがタイに移住する上での注意点をリポートする。

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タイでの移住生活に必要不可欠なマインドとは

(現地在住ライター 村岸伝造

日本人がタイに移住する理由のナンバーワンは、「物価が安い」ことである。生活スタイルにもよるが、タイでは大体日本の半分から3分の1くらいの費用で生活できる。このため、タイ移住者の中には、「タイに来たかった」という積極的な理由からではなく、「物価が安い国ならどこでも良かった」という消極的な理由で移住を決めた人が、相当数いるのである。

私の見る限り、「自分はその国で何をして生きていくのか」という具体的な目標を持っている人ほど、タイ移住で成功しやすい。反対にそういうものを持たずに来てしまった人は、はじめは物価の安さから移住をスタートしやすいものの、「行きは良い良い帰りは怖い」で、インフレなどの理由で生活が困窮し、移住継続を挫折してしまうケースが多い。

これを防ぐために必要なことは、やはり確固たる目的と、現地での収入源の確保。この2点に集約されるかと思う。私は現在フリーライターで生計を立てているが、移住の始めからこの仕事をやっていたわけではない。「何かタイで継続的に収入を得る手段はないか」と常時アンテナを張り続けて、苦労の末に獲得したものである。これがないと、貯金を減らし続ける生活というものには、やはり限界がある。精神衛生上も良くない。

物価の安さは、やはりタイ移住の重要なファクターであることは間違いないが、そこに安住するのではなく、「自分はタイで生活を続け、さらによりよい生活を目指したい。そのためにはどうすればいいか」と考え続けて行動するマインドやモチベーションを保ち続けることが、タイの移住生活においては必要不可欠であると言える。反対に、これさえできれば、タイでの移住生活は成功したも同然である。

インフレに注意

(HowTravel編集部)

貯金や年金を元手に移住を考える人にとって難しいのが、移住先の物価変動だ。東南アジア諸国は比較的物価変動が激しいイメージがあるかもしれないが、タイに関してはここ10年は落ち着いており、平均して2%ちょっとのインフレだ。2006年に100円だった物が130円になる程度であり、他の国と比べても物価変動が激しいわけではない。しかし、1990年代は平均して5%を超す物価上昇率を記録しており、移住は何十年も先のことを見なければいけないことを考えると、将来の物価変動を予測することは困難だろう。現地ライターからのリポートにもある通り、現地での収入源の確保があることが望ましい。