農林水産省の平成27年7月調査によると、海外には8万9000件もの「日本食レストラン」があるとのことがわかった。この件数は、2年半前の調査時と比べると1.6倍に増えており、海外における日本食の需要が爆発的に高まっていることがわかる。一方、この「日本食レストラン」の定義が曲者で、各国の電話帳に記載された、現地で日本食レストラン扱いを受けている店全てが対象だ。海外に行くと、日本人が一人も働いていない、驚愕の日本食を出す店に出くわすが、これらはすべて「日本食レストラン」に含まれている。

日本人からすると偽物と言いたくなるような日本食が、日本クオリティーの日本食より人気ということは多々ある。例えば、パリには日本人が経営する日本食料理店は多々あるが、口コミサイトで長らくパリ日本食ランキング1位評価を得ていた 真心では、香港と日本人のハーフのシェフが腕を振るっており、出てくる料理は美味しいのだが日本人からすると何か違う。

このように、現地民に合うようにアレンジされた日本食が高い評価を受けるということは儘ある。一方で、近年は日本食チェーン店も海外に多数進出し、評判を得ていることもまた事実だ。各国で人気の日本食料理店について、現地在住ライターがリポートする。

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目次

【イギリス】ほとんどは外国人経営だが、最近は変化も

(現地在住ライター バックリー佳菜子

筆者の住むイギリスでも残念ながら大半の日本食レストランは日本人以外が経営し、日本人以外のシェフが作る料理が提供されているというのが現状だ。ロンドンのような大都市であれば、日本人シェフが作る本格的な日本食レストランもたくさんあるが、筆者が住む中規模ベッドタウンで人気がある日本食レストランはWagamamaやYo!Sushiといった全国チェーンの日本食レストランか、中国人経営の個人レストランである。

しかしひと昔前とは違い、舌が肥えたお客さんが増えてきたためか、外国人経営の日本食レストランでも質が高い日本食が食べられることも増えてきた。例えば10年ほど前はどの日本食レストランでも人気があるのは照り焼き・天ぷら・寿司程度で、甘すぎる照り焼きソースやシャリが硬すぎる寿司などがっかりすることが多かった。しかし最近では日本式の焼き餃子やカツカレー、刺身やおひたしなどバラエティーに富んだメニューが食べられるようになり、味も本格的になってきていると感じる。

料理がまずいと有名なイギリスでもこれだけ本格的に日本食が認識されてきている。今後より本格的で健康的な日本食が広まってほしいと思う。

【フランス】より本物志向のラーメン、弁当が人気

(現地在住ライター 竹内真里

パリ市内には外観や内装、店名からしていかにも他のアジア人経営の「なんちゃって日本食レストラン」から、ミシュランで星を獲得し日本人シェフが腕をふるう高級和食店などがある。日本人街に行けば気軽に入れる定食屋、お好み焼、焼肉、居酒屋、日本のパン屋などの店が軒を連ね、ビジネス街・観光地にも近いことから混雑している。

しかし最近では日本人街だけでなく、パリ左岸サンジェルマンデプレ界隈に日本でおなじみの「一風堂」、フランス人が経営する「こだわりラーメン」などのラーメン屋が続々とオープンし、評判も上々で食事時は入店を待つ人が列をなしている。もちろん味は日本のそれに限りなく近く、内装も工夫が凝らされており、和の雰囲気を醸し出しているのも人気の理由だろう。

じわじわと「BENTO」ブームもきている。店内やテラス席で飲食可能な弁当レストランまであちこちで見かけるようになった。中でもパリ郊外の駅のホームで営業している「Koedo」は日本に留学経験のあるフランス人女性が経営者で、調理は日本人女性が担当しているだけあって期待を裏切らない味だ。肉や魚をメインに数種類の野菜など種類豊富な品目がコンパクトに詰まった弁当はいろどりも栄養バランスも良く、パリジャンには目新しいのではないか。

日本文化を知る人々が増えているのも影響しているのだろうか、本物の日本食を提供しようとする店とそこに通う客が以前よりも増えてきたように思う。

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【韓国】食に対しては、親日な韓国

(現地在住ライター キム・ヒョンジ
韓国のドラマや映画で政治家や悪役が会食する場は、決まって日本料理屋だ。このように日本料理は最高級に分類され、庶民には縁の無い存在だった。そんな中で、数年前から日本式の居酒屋が若者達の間でブームとなった。これは、大体が韓国人経営の偽日本料理の店がほとんどだ。

だが、近年は日本人オーナーシェフの、寿司や割烹と言った高級店が増え、富裕層に絶大な人気を得ている。勿論これらの店では、日本と変わらない料理が出される。昔から定着している庶民的な日本食も有る。おでん、うどん、とんかつの3品だ。この3品は、味付けは韓国人向けに変化したが、日本語のままで韓国で使われている。そして今では、それ以外の庶民的な日本食が、驚くほど増えている。居酒屋、回転すし、日本式のトンカツ、讃岐うどん、ラーメン、カレー等の外食チェーン店の進出で、日本の庶民的日本食は全て有ると言っても過言では無いのだ。そして、そのほとんどが韓国人から人気を得ている。反日の韓国では有るが、日本食に関しては親日のようだ。