北欧諸国や、ラテン系諸国の人間を区別できる日本人は稀だ。それは外国人からしても同じで、日本人が海外に行くと、必ずと言っていいほど中国語で話しかけられる。単純に中国人の数が多いからという理由もあるだろうが、単純に見分けがついていないこともある。

HowTravel編集部がカナダのイタリア人街を訪れた際に「日本には中華街や韓国人街がある」と店員に話したところ、「日本も中国も韓国も同じなのに」と笑われたことがある。我々日本人からすると、日本に中華街があることと、カナダにイタリア人街があることは似たようなものだと感じるが、欧米人にとってはそうではないらしい。

実際のところ、外国人は日本・中国・韓国の違いをどの程度認識しているのか。海外在住ライターがリポートする。

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【フランス】関心・知識がない人には東アジアはごちゃまぜ感あり

(現地在住ライター 竹内真里

個人差があるのでなんとも言えないが、いずれかの国について知識がある人でなければ、わりと一緒くたにしている。外見のみでは区別がつけづらいらしい。欧米や中東、北アフリカ出身の知人らに聞いても「見ただけではちょっとわからない」と話す。とはいえ、歩いていると突然「ありがとう、さようなら」など言われることもある。

パリ市内の韓国・日本食材店に一緒に買い物に行ったフランス人の友人は「これ何て書いてあるか訳して」とハングル文字を指して聞いてくる。パリ在住35年のポルトガル出身のマンション管理人は筆者が日本人ということを知っているのだが「チャーハンの作り方を教えて。あの香りつきの米、なかなかおいしいわよね。アンタ何の宗教? ちょっと中国語で話してみてよ」という具合だ。彼女は、中国の中に日本という都市がある、と思っているようだ。

個人的な体験を挙げると、パリ県庁のセキュリティチェックの係員にどこの国出身か聞かれたので「日本人です」と答えると怪訝な顔をし「うーん、でも普通日本人はもっと化粧をして品のいい格好をしているんだけどな」とはっきり言った。彼のように日頃から多種多様な民族に接している職業の人は外見的特徴をある程度把握しているようだが、判断に迷う難しいケースもあるようだ。

また、ホテル勤務の知人は見た目で区別もでき、部屋の使い方でも差がわかるとのこと。中国人は団体旅行客が多く、ミッキーマウスなどのキャラクターがプリントされた服の着用率が高く、備品を持ち帰られることも。韓国人はカップルや女友達での少人数での利用が多く、女性は細くて色が白く化粧バッチリだが、声が大きくて騒音がひどい。日本人は小綺麗で礼儀正しくおとなしいが、帰国してからクレームを言ってくるのが不思議、とのことだった。

こちらで生活していて日本人や日本についてはあまり知られていないと感じる。旅行の際「ニーハオ」と声をかけられても、気にせずに。一般的にアジア人=中国人、ニーハオという発想で、日本人が白人を見たらとりあえず「ハロー」と言うのと同じような感覚だ。逆にしつこく日本語で話しかけてくる人物は、日本人を狙ったよくない目的がある確率が高い。特に女性は注意しよう。

【アメリカ】アジア人の多い移民国でも違いを区別することは困難

(現地在住ライター 長谷川サツキ

移民の国アメリカには1800万人を超えるアジア人が住んでおり、そのうちの80万人強が日本人だ。アジア人はハワイやカリフォルニアといった特定の州に集中しがちなので、ほとんどアジア人が住んでいない州も多い。そんな州ではアジア人を見分けるどころか、いまだかつて見たことがないという人もいる。そういう場所ではまさに「アジア人=中国人」という扱いを受ける。

とはいえカリフォルニアのようにアジア人の多いエリアなら見分けられのるかといえば、それも怪しい。「うーん、韓国人!あ、違った?じゃあ日本人!」といったレベルがほとんどだ。ファッション、髪型、身長などを参考に推察するそうだが、当然個人差があるので外れることもしょっちゅうだ。ただ面白いことにそのアジア人が母国語を話すと、とたんに命中率はぐっと上がる。母国語の響きや「アリガトウ」「シェシェ」といった知っている単語を聞き取って区別するのだそうだ。移民の国ならではの特技といえるのかもしれない。

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【ブラジル】目元で見分けられるか

(現地在住ライター 増成かおり

ブラジル人と知り合うと、「日本人?それとも中国人?韓国人?」とよく聞かれる。

たまにブラジル人が、自分の両目の端に指を当てて横に引っ張り「これが日本人。」引き上げて「これが中国人。」引き下げて「これが韓国人。」そして「これで合っているか」と私に聞く。つまり、日本人は細目、中国人はつり目、韓国人はたれ目、という見分け方は正しいかというわけだ。普段から日本人は「オーリョス・プッシャードス(引目、細目)」と呼ばれていて、これは馬鹿にしいるのか興味があるだけなのか微妙だ。

この他、ショッピングセンターのフードコートでは、和食店店員の制服がチャイナ服風だったり、テレビ番組で日本を紹介する際に中国風のメロディが流れたりするなど、この3つの国の印象は混じり合っていてそう変わらないのだろう。

顔つきだけならこの三国だけでなくモンゴル人も日本人とよく似ている。文化など他の面の違いも見て欲しいと思う。