リオオリンピックが日本時間8月22日に閉会し、いよいよ9月7日からはパラリンピックが開催される。各局が中継し、大盛り上がりとなるオリンピックに比べ、正直パラリンピックの人気はそこまで高くはない。出場する日本人選手の名前を一人も言えないという人の方も多いかもしれない。実際、2014年のソチオリンピックでは開会式がNHK総合で生中継されただけで、いずれの競技も地上波での中継はなかった。海外ではパラリンピックはどのように扱われているのだろうか?日本と同じく、注目度は低いのか、それともオリンピック並みに応援され、人気もあるのか。海外現地在住者がリポートする。

※史上初めて、リオパラリンピックはNHK総合にて毎日生中継されることが決まっている

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【ブラジル】祭りは終わった

(現地在住ライター 増成かおり

華やかに始まり賑やかに終わったオリンピックだったが、続くパラリンピックを前にして盛り上がっているようには見えない。

一昨日朝の全国ニュースでは、パラリンピックについて取り上げられたのは終了間際にほんの少しにとどまっていた。観客が声援を送ってくれることを期待する選手のコメントと、競技場のオリンピックシンボルマークをパラリンピックのものに交換している作業の様子を紹介したくらいだったのだ。

その会場はいっぱいになるのだろうか。サンパウロの巨大新聞、フォーリャ・デ・サンパウロ紙は9月1日、チケットの売上はやっと40%に到達したと報じている。チケットは1枚約320円(10レアル)から、最も高いチケットでも約4100円(130レアル)と買いやすい価格に設定されているにもかかわらずだ。

周囲の人からもパラリンピックの話題は全く出てこない。熱しやすく冷めやすいブラジル人にとって、カーニバルで最後を飾ったオリンピック閉会式で祭りは終わってしまったのだろう。それでも大会前ギリギリにチケットを買ったり、大会が始まればテレビ中継を見たりするだろう。ブラジルの人は、祭りもスポーツも大好きなのだ。

【イギリス】福祉の国イギリスならではの扱い

(現地在住ライター バックリー佳菜子

前回2012年夏季オリンピック/パラリンピックのホストであったイギリスでは、今回のリオパラリンピックに対しても盛り上がってきている。

Channel4というテレビ局はパラリンピックPRのため、様々な障害を持った方がビッグバンドで演奏しているユニークなTVコマーシャルを作り話題になった。ガーディアン紙など複数の大手新聞社がこのコマーシャルについて取り上げている。(YouTubeでも見ることができる⇒動画はこちら)またBBCではオリンピックと同様、パラリンピック開催中はチャンネル数を増やし、多くのスポーツを生中継する予定である。

このようにイギリスではパラリピックはオリンピックとほぼ同様に扱われているという印象だ。またパラリンピックに出場する選手もアスリートとして、メディアに何度も登場しているため、オリンピック選手と同様程度に知名度は高い。これは福祉の国と言われるイギリスならではで、障害があろうとなかろうとアスリートとして尊敬し扱われるべきという姿勢の表れかもしれない。

【韓国】韓国は障害者にとって辛い国

(現地在住ライター キム・ヒョンジ

パラリンピックの開催を控え、韓国選手団が出発したと言うニュースを目にした。81人の選手が出場し、金メダル10個以上の獲得を目標にしているそうだ。このような報道がなされ、障害者達がのびのびと自信に満ちた姿を見せることができるのは、とても喜ばしいことだ。

と言うのも、韓国では、昔から障害者を目に見えない所に追いやってきた。極端に言うと、外を歩く事さえ憚れたのだ。そして、ようやく2007年3月に「障害者差別禁止及び権利救済に関する法律」が国会で採択された。わずか9年前の事だ。差別を無くす法律を作らなければ、障害者が生活出来ない国だったのだ。どれだけ、障害者が差別を受けていたか心が痛む。

2014年にインチョンで開かれたアジアパラ競技大会では、開催国ということもあり開会式はテレビ中継されたが、全ての競技を生中継したわけではない。未だに障害者に対して偏見が残るこの国では、パラリンピックを見て盛り上がる事ができないのだ。