日本には世界に名だたる企業が数多くある。アメリカの調査会社インターブランド社が10月5日に発表した、世界ブランド力ランキング100では、日本企業から6社がランクインしている。中でもトヨタ自動車は、アップル、グーグル、コカ・コーラ、マクロソフトに次ぐ5位となっており、世界に知らない人はいないブランドとして評価されている。

ベトナムでは「ホンダ」が原動機付自転車を表す単語として使われていたり、東南アジアでは「味の素」が塩や砂糖といった調味料の一つとして使われていたりと、国によっても有名な日本企業は異なる。

各国ではどの日本企業が有名なのか、海外現地在住ライターがリポートする。

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目次

【アメリカ】トヨタ自動車を持つことがステータスなアメリカ

(現地在住ライター 長谷川サツキ

車が足代わりのアメリカでは、日本企業といえばやはり自動車メーカーが有名だ。トヨタを筆頭に、ホンダ、マツダ、スバル、日産のロゴを付けた車がアメリカ中どこへ行っても走っており、渡米当初は日本車の数の多さに驚いたものだ。日本車はダントツで故障しにくいため信頼が厚く、他車に比べても高価で中古車も値崩れしにくい。一人1台車が必要といわれるこの国で、日本車を持つことはステータスなのだ。

アメリカ一有名な企業はトヨタだが、自動車メーカー以外にもアメリカ人の誰もが知っている日本企業は数多く存在する。パソコンやテレビでおなじみの東芝、ソニー、パナソニック、シャープ、カップラーメンのまるちゃんとして有名な東洋水産、カメラのキャノンなど。アメリカでは日本企業は安心の象徴。日本のものを買っておけば品質は間違いないという考え方は今も浸透しており、日本人として誇らしく思う。

【ブラジル】インスタントラーメンの代名詞

(現地在住ライター 増成かおり

2008年に日本ブラジル移民100年周年を迎え、これまでにトヨタをはじめ多くの日本企業がブラジルの社会に根づいているが、ブラジルで最も知られている日本企業は明星だろう。

この国で明星は「Myojo」ではなく「Miojo」と表記。「ミオジョ」と発音され、既にインスタントラーメンを表すポルトガル語として定着している。インスタントラーメンは、ブラジルのどこのスーパーでも安い価格で販売していて、他のブラジルメーカーのインスタントラーメンもあるが、全てミオジョと呼ばれるほど、子供から大人まで多くの人に親しまれている。

ちなみに、ブラジルのラーメンには日本のような味噌や醤油や豚骨はないが、種類はバラエティに富んでいる。「Miojo」のラーメンには、エビ、豆スープ、ベーコン、牛肉、野菜、チキン、地鶏。私はビーフ&トマトかチキン&レモン味をよく買う。ブラジル人の好みを反映してか、いくらか濃い味付けだ。

【フランス】やはりトヨタ、ソニー、キヤノンが有名

(現地在住ライター 竹内真里

フランスの街を眺めると、トヨタ、ニッサン、ホンダ、カワサキ、ヤマハなどの自動車・バイク車両がかなり走っており、アライのヘルメットもよく使われている。

一般的な家庭を訪れると、ソニーやパナソニックのテレビがあり、プレイステーションやニンテンドーのゲーム機で大人も子どもも遊んでいる。一昔前はアカイのオーディオ機器もあった。

カメラも筆者の周囲ではキヤノン愛用者が圧倒的に多く、ファストファッションではユニクロが支持され、文具コーナーでは筆記具のぺんてる、ユニボール、パイロットのカラーペン、スーパーの食品コーナーではキッコーマンの醤油、ビールはアサヒにウイスキーはサントリーという具合に、日常的に日本企業の名やその商品を目にする機会は非常に多いのだが、それらが日本企業発だと知らない人もいるだろう。

そこで改めて「知っている日本の会社は?」と聞くと、予想通りトヨタ、ソニー、キヤノンの名を挙げる人が圧倒的に多い。そんな多数派の中、印刷関連業に就く友人は「もちろんローランド!」。電子楽器メーカーのローランドの関連会社がプリンターで有名だと外国人の友人から逆に教えてもらったのだった。

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【台湾】至るところに日本製品が溢れている

(現地在住ライター 山田純

台湾人にとって日本製品につけられた企業名は「安心」「安全」「信頼」を意味すると言っても過言ではない。台湾製のものに比べれば当然値が張るが、それで「安心」や「安全」を手に入れられるなら安いものだ、という考えが多くの台湾人の中にある。

台湾には至る所に日本製品が溢れているし、日本企業と取引をする台湾企業も多く、マイナーな企業名まで知っている台湾人もいて、その中で「一番」有名な企業を決めることは非常に難しい。世界中で有名なトヨタやソニーはもちろん、台湾でも知らない人はいないだろうが、ダイキンやヤマハが有名なのは、台湾らしい現象ではないかと思う。とにかく酷暑の夏が長い台湾で、エアコンは必要不可欠だ。そのため誰もが「日本一番!ダイキン!」と言うキャッチフレーズを口ずさめるほど台湾ではダイキンが浸透している。そしてスクーター社会の台湾においてヤマハのスクーターは常に売り上げトップ3に入るほど有名だ。また近年では象印が広く知られるようになった。エコに対する意識の高まりとプラスチック製品を使いたくないと言う台湾人が多く、魔法瓶がブームになっているかららしい。

台湾人にとっては「日本企業」「日本ブランド」そのものが「一番」なのかもしれない。