フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領はフィリピン内で蔓延する麻薬組織撲滅のため粛清作戦を実行しており、就任からわずか2か月余りで2400人以上がこの作戦中に死亡した。人権団体によると、このうち1500人余りは自警団によって超法規的に殺害された言われている。法律を無視した強権に疑義を呈したオバマ大統領に侮蔑的な表現で対抗する等、対外・対内双方に対して強硬姿勢を持つ大統領として世界中のメディアを賑わしている。フィリピン国内ではどのように受け止められているのか。ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は国民から支持されているのか、フィリピン在住ライターがリポートする。

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フィリピンに新しい風を吹かすと国民には好印象

(現地在住ライター Ken Saito

選挙中も過激な発言を繰り返し、蔓延する汚職や麻薬などの違法薬物の撲滅を掲げ、新しく大統領になったのがドゥテルテ氏だ。大統領就任後もその勢いには衰えがなく、大統領の号令の下、政府が一体で改革に力を入れ、成果も上がっていることもありフィリピン人の間では とても好印象である。

強硬な発言で知られるドゥテルテ大統領は、国内だけでなく海外に対しても時には常識を逸するような発言を繰り返しているため、外交問題となってしまうことも少なくない。しかし、大統領の周辺でも発言の真意を間違わないようにと海外の報道機関に要請するなど、フィリピン国内ではあまり大きな問題とは受け取られていない。

フィリピンの歴代大統領も汚職の撲滅や経済改革を訴えるものの、結局は大統領自身や親族が汚職に加わるなど、国民の信用を裏切り続けてきただけに、中にはやりすぎという声がない訳ではないが、目に見える成果を就任早々出し続けているドゥテルテ大統領は、現在のところフィリピン国民にはとても好意的な指導者として人気が高い。大統領が行っている国内での改革については、海外ではあまり話題にはされていないものの、役所などでの手続きの複雑さを解消し、一つの場所で手続きができるようにするなど、市民の生活の中にも直接見えるような改革が少しずつ進み、こちらもフィリピン人の間ではとても好評だ。

通常、選挙が終了してしまうと、大統領が市民生活に直接影響することが少なかったフィリピンだが、ドゥテルテ大統領の政策は、直接フィリピンの国民にも見える形で改革が進んでいるため、海外からの過激大統領といったような評判よりも、市民のために働いてくれる大統領という声の方が多いのが一般的な意見である。

フィリピン国内でドゥテルテ大統領の支持率は高い

(HowTravel編集部)

現地ライターからのリポートをみると、ドゥテルテ大統領がフィリピン国内で支持されていることがわかる。実際、7月初めに行われた世論調査によると、「大統領を信頼している」と答えた人は91%にものぼり、ドゥテルテ大統領の支持率をみても人気っぷりが伺える。まだ就任から2カ月しか経過していないことを考えると、大統領の手腕が支持率に影響するのはもう少し先かもしれないが、フィリピン国民の剛腕大統領への期待が伺える。