2015年に安部首相が自衛隊を「我が軍」と呼んだことが官房長官に擁護される事態となったように、自衛隊は一般的に認識されている軍隊ではない、というのが従来からの日本の解釈である。実際、平成18年の衆議院答弁によると、

「軍隊については、その定義が一義的に定まっているわけではないと承知しているが、自衛隊は、外国による侵略に対し、我が国を防衛する任務を有するものの、憲法上自衛のための必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約を課せられており、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものと考えている」

と回答されている。このような自衛隊解釈を元に、メディアを中心に「日本は軍隊を持たない世界でも珍しい国である」や、「日本も軍隊を持つべきである」というような主張がなされることがある。

しかしながら世界的にみると日本の防衛費はドイツや韓国よりも高く(2015年)、有数の軍事力を持つ国となっている。見方によっては、強力な軍隊を持っていると受け止められてもおかしくはない。他国の一般人は日本の自衛隊についてどのように捉えているのだろうか。海外現地在住ライターがリポートする。

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【アメリカ】同盟国アメリカにとっても自衛隊は日本の軍隊という認識

(現地在住ライター 長谷川サツキ

同盟国として日本と緊密な関係にあるアメリカ。日本の自衛隊については、災害派遣や米軍との合同演習の様子が時折ニュースで流れている。迷彩服を着てジープで移動し、状況によっては兵器を携えて行動する自衛隊。その姿を見てほとんどのアメリカ人は「日本も軍隊を有している」と認識している。ニュースではいちいち「これは軍隊ではなく自衛隊だ」などと説明してくれるわけでもない。

それに例え日本の自衛隊の定義を理解していたとしても、広義では軍隊に他ならないと思っている人がほとんどだ。そのため他国で紛争が起きると「日本は立派な軍隊があるのに、なぜ率先して動かないのか」と疑問に思う人が出てきてしまうのだ。「法に縛られて自由に動くことができない、じれったい軍隊」。それが多くのアメリカ人にとっての自衛隊のイメージのようだ。

【イギリス】尖閣諸島での衝突から注目が集まる

(現地在住ライター バックリー佳菜子

筆者の住むイギリスでは日本の自衛隊の事はJapan Self-Defence Force(JSDF)と呼ばれている。以前はイギリスで自衛隊のことが話題になることは稀だったが、近年中国船が尖閣諸島近海に侵入する事件が多発し、日本と中国の緊張が高まっていることがしばしば報道されるようになり、自衛隊がどう対応するのかが注目を集めはじめている。同じ島国でもあるイギリスにとって領海における衝突は不安の種であるからだ。

昨年10月にはBBCで自衛隊の特集記事が組まれ、多くのイギリス人の目に留まった。イギリス人の多くは自衛隊が自衛のためにあることは知りつつも、世界最先端の軍事技術を持つ軍隊であるとの認識だ。

【韓国】韓国軍も自衛隊も、やっている事はさほど変わらい

(現地在住ライター キム・ヒョンジ

韓国内では、大多数の国民が自衛隊を軍隊だと思っている。国を守るだけだと言っても、何ら韓国の軍隊と変わらないからだ。韓国軍は北朝鮮と休戦状態にあるが、自ら攻撃をする事は無く北朝鮮から攻撃を受けた時に応戦するのが現状だ。この状況は日本の自衛隊と同じで、自国を他国からの攻撃から守るために存在しているのだ。

それにまして、集団的自衛権の行使を容認することになり、朝鮮半島で有事が発生した際に、自衛隊が朝鮮半島に上陸する可能性が出てきたため、韓国内のマスメディアは一斉に批判的な報道をした。昨年に行われた日韓防衛大臣会談でも、朝鮮半島有事の際に自衛隊が韓国に上陸するか否かで大きく報道された。このマスメディアの反応は、韓国全体が自衛隊を日本軍として認識している証なのだ。