アメリカは、日本以外で日本人が最も多く住んでいる国だ。留学生、転勤者、移住等、理由は様々だが、実に多くの日本人が暮らし、そして働いている。そうは言っても、英語が完璧に喋れたり、経歴や能力がずば抜けて秀でている場合の除くと、日本人がアメリカで働くのは容易ではない。アメリカで仕事を見つけて就職するために必要なビザや求人の探し方について紹介する。また、際にアメリカで仕事をしている現地在住日本人に、アメリカで仕事を見つけるためにしたこと、待遇、日本との違いを聞いてみた。

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アメリカの就労ビザについて

(HowTravel編集部)
アメリカのビザ(David Franklin / Shutterstock.com)

●就労ビザの種類

アメリカの就労ビザのシステムははっきり言ってかなり難解だ。おおまかにH、L、O、P、Qビザの5種類があり、この5種類の中にまた細かいビザの種類が存在する。一般的にアメリカで就職をする場合に取得されるのはH-1Bビザだ。

・H-1B (特殊技能職)
・H-2A (季節農業労働者)
・H-2B ビザ (熟練・非熟練労働者)
・H-3 (研修生)
・H-4 (H同行家族)
・L-1 (企業内転勤者)
・L-2 (L同行家族)
・O-1(スポーツ選手、科学者等、卓越した業績のある者)
・O-2(O-1同行者)
・P-1 (アメリカで活動したい芸術家や芸能人)
・P-2 (交流のためにアメリカを訪れる芸術家や芸能人)
・P-3 (訓練のためにアメリカを訪れる芸術家や芸能人)
・Q(国際文化交流プログラムに参加する者)

●就労ビザの取得方法

ほとんどのアメリカで就職する日本人がH-1Bビザを取得するため、その前提で説明すると、アメリカの就労ビザを取得するためには、雇用主が労働省に雇用契約の内容や条件に関する労働条件申請書を提出する必要がある。また、申請したからビザが取得できるというものではなく、厳格な審査が存在する。また、年間65,000件しか発行されておらず、枠が埋まった段階でその年のH-1Bビザの発行は終わりで、来年まで待たなくてはならない。

H-1Bビザは取得難易度が高く、雇用主の手続きも煩雑なため、まずはアメリカの大学や大学院に学生ビザで留学するという手もある。この場合、アメリカでの就職が容易になる。また、研修ビザ(Jビザ)というものもあり、最長18カ月、有給にてアメリカで働けるというもので、H-1Bビザと比べて雇用主側の負担が少なく、日本人を採用する敷居が低くなる。研修ビザ期間中に結果を出せば、その後のH-1Bビザの申請手続きでもサポートしてくれるだろう。

なお、H-1Bビザの申請費用はどの程度の専門家を使うかにもよるが、2,000-5,000ドルと高額だ。

アメリカで仕事をするうえで必要な能力

●英語力

英語力は当然必要だが、そのレベルは志望する業界による。書類作成や会話がメインとなるような仕事であれば、英検1級やTOEIC900点等という指標は全く役に立たないと思った方が良い。日本で学んだ、テストで満点が取れる英語を突き詰めても、現地のビジネスでは使えないし、就職活動でも語学力を証明する材料とはならない。システムエンジニアや技術者のような仕事であれば英語の要求はぐっと下がる。また、全く英語に自信がないような人は、日本企業の現地支社や、アメリカ企業と日本企業のパイプ役を果たすような仕事に応募するのがお勧めだ。

ただアメリカで働きたいというだけであれば、英語能力はそこそこでも問題ない。体験談にもあるように、清掃の仕事等、英語を全く使わないという仕事もある。

●学歴

日本の学歴はアメリカでは通用しないため、どこ大学を卒業したかというのはあまり意味を持たない。ただし、H-1Bビザの取得には四年制大学の卒業資格が必要なため、四年制大学を卒業していない場合はアメリカで働く難易度が高くなる(他のビザもあるので、働けないわけではない)。

また、アメリカやイギリスのような英語圏の大学を卒業したという履歴は、語学力を証明する上で価値を持つだろう。

●職歴

職歴は非常に重要だ。第一に、言語的なディスアドバンテージを抱える日本人を雇うには言語以外に秀でた能力があることが前提であり、それを最も端的に証明できるのが職歴だからだ。また、日本の新卒一括採用主義のようなものはアメリカにはなく、採用するのは即戦力のみだ。日本とは違って、アメリカの会社に入った後に丁寧な研修は待っていない。運よく入れたとしても、しっかりと能力を発揮できなければすぐに切られてしまうため、しっかりと日本の会社で実力を付けてからアメリカに渡るのが望ましい。

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アメリカでの仕事の見つけ方


就職活動の面接(baranq / Shutterstock.com)

●仕事の探し方

第一にすべきことは簡単なレジュメ(履歴書)を英語で作ることだ。日本の履歴書のようなフォーマットはないため、自分でワードやエクセルを使って作成する必要がある。必須記載事項としては、名前、住所、年齢、社歴、学歴等だ。日本とは違って、最近の社歴を一番上に書き、古いものを下に書いていく。
アメリカの仕事を探す方法は様々で、主に以下のような方法がある。

・日本の転職サイトを使う
日本の転職サイトを利用するメリットとしては、日本語で仕事を探せる安心感と、日本人を雇いたい会社を見つけられるという2点だろう。特に後者は重要で、英語に自信がない人にとって、アメリカ人と横並びで評価される求人に応募するのは難易度が高い。反対にデメリットは求人の少なさだ。自分が就職したい仕事があるかは時の運だ。とりあえず登録をして、非公開案件も含めて紹介して貰おう。

①JAC
JACはイギリス発の日本人転職支援企業で、世界9カ国にオフィスを持つ。アメリカ単独でみた場合の案件数は必ずしも多くはないが、直接企業を訪問したコンサルタントが相談に乗ってくれるのがありがたい。海外転職であればまずお勧めしたい転職エージェントだ。日本の転職業界で3位の売上を持ち、実績も十分。

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※アメリカの求人案件は無料登録してからしか確認できない

②リクルートエージェント
リクルートエージェントは言わずと知れた業界No.1の転職支援企業であるリクルートの運営する転職エージェントサイトで、エージェントが自分に合った案件を紹介から面接までサポートしてくれる。日系企業の現地スタッフ案件が多い傾向にはあるが、海外案件も豊富だ。サイト上では公開されていない、非公開案件がほとんどなので、とりあえず登録をして案件をみてみることをお勧めする。

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・アメリカの転職サイトを使う
こちらもサイト名は記載しないが、「search jobs in usa」で検索すれば幾らでも出てくる。メリットとしては会社数が多いことで、日本語転職サイトでは見つからなかった求人も多くあるはずだ。一方、デメリットとしては基本的にアメリカ人を対象に求人を出している企業が多いため、ビザのない外国人を受け入れてくれる企業を見つけるのが難しいことだろう。このような場合、「search jobs in usa on h1b」で検索すれば、H-1Bビザの取得スポンサーになってくれるアメリカ企業を絞り込むことができる。

・エージェントに紹介して貰う
日本で働いていると一般的ではないが、アメリカでは最も利用される転職手段の一つだ。アメリカ人のビジネスマンなら誰しもが信頼できるエージェントとコネを持っているが、日本人だとネットワークの構築から始める必要がある。まずはLinkedInへの登録がお勧めで、英語でプロフィールを登録してしばらくすると、外国人エージェントからコネクション申請が来る。後は電話なりメールなりで打ち合わせをして、希望の職種や就職先を伝えれば良い。メリットとしては、自分の職歴や志望にあった就職先をプロが紹介してくれ、レジュメ(履歴書)の書き方から面接対策までサポートしてくれることだ。デメリットは、エージェントの気を引ける職歴がないと、エージェントに見向きされないところだ。

・直接会社の求人に申し込む
これは日本でも一般的な方法なので、細かい説明は差し控えるが、日本と同様、アメリカ企業もウェブページ上に求人情報を載せている場合があり、連絡すれば良い。転職サイト経由に比べると、モチベーションが伝わりやすい。ただし、ビザのスポンサー交渉は難儀するだろう。

●希望の仕事が見つかったら(面接や給与交渉)

希望の職種が見つかり、レジュメを送付し、候補者として残った次に待っているのは面接だ。まだ日本に在住しているのであれば、電話やスカイプ面接が一次に入る場合があるが、最終面接は基本的には現地に行くことになる。一日で複数人と何時間もかけて面接するのが一般的で、給与交渉もその場で行われる場合が多い。

アメリカ人の候補者と席を争う上で重要なのは、自分を等身大よりも遥かに大きくアピールすることだ。アメリカ人は実績や能力がなくても自分を大きく見せるのがうまいため、実直な自己アピールでは勝てない。もちろん経歴の詐称は大問題で、この点については日本と違ってアメリカでは即時解雇や訴訟にも発展するため絶対にしてはいけない。嘘はつかず、謙遜はせず、というバランスが重要だ。


アメリカで仕事をする日本人の体験談

●自己アピール力が結果を左右する就職事情

(現地在住ライター 長谷川サツキ

アメリカは転職を繰り返すことで地位や年収のステップアップを図っていく国だ。就職しても1、2年でさらによいポジションを求めて転職していくケースが少なくない。そのため年間を通して常に求人募集が出ているものの、応募者も多く競争率が総じて高い。

アメリカでの就職活動最初の関門は、いかに目を引くレジュメ(履歴書)を作成できるかということだ。求人募集の探し方はネットや雑誌の検索、人材紹介会社への登録、そして知り合いの紹介等。初めての就職活動であれば、色々とアドバイスがもらえる人材紹介会社がオススメだが、いずれの場合でもレジュメは必須である。アメリカのレジュメに様式は存在しない。真っ白な紙を前に文面や書体に工夫を凝らしながら、これでもかという程自分を売り込む内容を盛り込んでいく。ネイティブ達の自己アピール力は凄まじく、ハンバーガー店アルバイトの職歴でも、企業名を見なければまるで大企業のプロジェクトリーダーと見まごうほどだ。どうしても謙虚な日本人はこれが苦手なようで、キレイにまとまったレジュメを作成しがちなのだが、それでは人事担当者の目には止まらない。人事担当者は何十、何百というレジュメを1枚10秒そこそこで判断していくため、ともかくパンチのあるレジュメを作成することが必要なのだ。私も自分で赤面してしまう程自己アピールしたレジュメを作ったが、人材紹介会社の担当者にまだアピール力が弱いと言われて衝撃を受けたものだ。

書類審査を無事通過すると、電話面接、そして現地面接に進む。企業によりけりだが、現地面接では人事、希望部署の各責任者等の複数の人と面接をする場合が多い。私が保険会社の現地面接を受けた時には、人が入れ替わり立ち替わりやってきて面接をし、さらに電話対応テストや状況判断テスト等も行われ、休憩なしで約3時間半程だった。尚、私たち日本人は面接では英語がネックと思いがちだが、アメリカは移民の国であるため、州にもよるが意外とネイティブ達はアクセントの強い我々の英語でも聞き取ってくれる。大切なのは分かりやすいようにゆっくりはっきりと話すことと、アイコンタクト、そして余裕と自信を漂わせる態度だ。

いざ仕事が決まれば、日本人の勤勉でまじめな性格が評価され、仕事は順調に進むケースが多い。ぜひ就職活動を成功させて自分の目指すアメリカン・ドリームをつかんでほしい。

●ある程度英語が出来れば職はあるがあとは「運」次第

(現地在住ライター MEEK まゆ

私は結婚してからアメリカに来た。ビザの心配がなかった私でも、「言葉の壁」、「人種」で悩んだ。私は仕事を得るために、地元のWork Force(職安)に行き登録したのだが、「日本人」だから得られるであろう職は、私がいたアメリカの田舎にはなく、手当たり次第受けた。

3件目に行ったアメリカンダイナーで最終的には雇われたのだが、理由はただ単にオーナーが珍しもの好きだったからだ。英語に自信がなかったのでテーブルクリーニングを始めた。クリーニングの仕事であれば英語に自信のない私でも誰ともしゃべらなくて済むと思ったからだ。結果は大間違いでお客さんには話しかけられるは、ウェイトレスからは「この水あっちに持って行って」、「サラダ作って」と命令される。だが、それをそつなくこなしても私の収入は最低賃金+ウェイトレスからもらえる3ドル程度のチップだった。こんなに頑張ってるのに!と思った私はオーナーに直訴しウェイトレスになった。向いていたのだろうが、ウェイトレスは大正解だった。日本のウェイトレスはもちろん時給しかもらえないが、アメリカのウエイトレスは最低賃金よりも低い時給だが、チップが貰える(アメリカのウェイトレスは最低賃金法適用外)。このチップのおかげで私は夕方の4-5時間しか働かなかったが100ドル稼ぐ日もあった。言葉の壁はあまりなかったが人種でからかわれたことは多々あった。

この約8年務めたウエイトレスの仕事を引っ越しを機に辞めた後に「新天地でもウェイトレスをしようと思う」と言うと、いつも「日本食レストラン?」と聞かれたものだ。日本人なのだから日本食レストランで働くのが当たり前と思われているようだ。

日本人だから就ける職ももちろんある。日本人向けのカスタマーサービスや日本との貿易会社等だ。しかし私が住んでいた所はそんなものが皆無だったので運だけだったのであろう。ある程度語学が出来ればあとは運次第だ。