トルコ現地時間2016年7月15日夜に発生した、一部軍人によるクーデターは、民間人も含めて200人以上の犠牲者を出して幕を閉じた。しかしその後もクーデター関与者とみられる1万3000人が拘束されており、完全に落ち着いたとは言い難い状況で、反政権派のテロ等の報復も懸念される。これからトルコ・イスタンブール旅行を検討している日本人にはどのような影響があるのか、何に気を付ければ良いのかをHowTravel現地在住ライターがリポートする。

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目次

旅行に来られるのか?クーデター未遂の影響は?

(現地在住ライター 土本窓子

2016年に入ってから、スルタンアフメットでドイツ人観光客を狙ったテロ事件、イスティクラル通りでのテロ事件、アンカラで多くの市民が犠牲になったテロ事件と大きなテロ事件が続いたトルコにとって、7月の頭にあったアタトゥルク空港でのテロ事件は、観光に与えた最後の一撃になったと思われていた。こういった状況が続いていたため、クーデター未遂による、観光への影響というのは、実はほとんど感じられない状況である。

クーデター未遂の後、イスタンブールの最大の観光地、スルタンアフメット地区に行ってみたところ、意外と観光客がいるなというのが、正直な感想だった。

●現地人へのインタビューでも、旅行・観光に対するクーデターの影響は感じられない


「クーデター未遂は恐ろしいことだったけれど、あっという間に制圧されたし、影響は全く感じていない。先週と、お客さんの数もほとんど変わらない」(シミットと呼ばれるドーナツ型のゴマ付きパンを売っている男性)

「15年ほどこのお店をやっているけれど、今回の事件の影響というのはないと思う。ブルーモスクの前でテロがあった後、観光客が減ったのは感じているけれど。ここは、素晴らしい所だよ。今は、本当は観光客であふれているはずだけど、今年は、少ない。インシャッラー、問題が解決して、世界中からお客さんが来てくれるようになるといいと思う」(キオスクスタンドの店主さん)

「2週間の予定で、毎日来ています。今日で9日目ですが、観光客が減った感じはしません。夜中に始まって終わってしまったので、何が起きたのかわかっていない人も多いように思う。日本人の観光客は、今朝、一人だけ会った。この地区に関して、知りたいことがあったら、私たちにお尋ねを!無料でご案内しています」(区が組織しているボランティアガイドの学生)

実際、観光地には、アラブ諸国、中央アジア、台湾、中国、韓国から来た観光客が多く見られ、クーデター未遂の影響は、ほとんど感じられなかった。とはいえ、日本からの観光客はほとんど見かけなかった。これは、今回のクーデター未遂の影響というよりも、昨年来の「IS」をはじめとするテロの影響が続いているからだと思われる。昨年来、日本からのツアーは激減しており、今年に入ってからは、日本からのみならず、ロシアやドイツといったトルコにとって大口の国々からも6割から9割減といった報道がされている。世界遺産も多く、食べ物もおいしく、人も優しいトルコ、早く問題が解決し、安心して旅行できる国になってくれるのを望むのみである。

現地で事件に巻き込まれたら

(HowTravel編集部)

現地リポートによると、クーデターそのものがトルコ観光・旅行に影響を及ぼしているということはあまり確認できなかった。クーデターよりも、イスラム国関連のテロの影響が響いているというのが実情なようだ。クーデターはただちに鎮圧され、関係者も多数逮捕されていることから、引き続き予断を許さないというような状況ではないが、旅行者としては治安状況を注視しつつトルコ・イスタンブール旅行に臨むことをお勧めする。万が一事件に巻き込まれた場合のため、領事館の場所は確認しておきたい。

■イスタンブール日本国総領事館
TEL: +90 212 317 4600
住所: Büyükdere Cad. Tekfen Tower No:209, 34394 4.Levent/İstanbul