日本に正式な国技はないとは言え、「日本の国技は何か」という問いに対して相撲であると答える人は多いのではないだろうか。一時期は八百長問題で人気が落ちた相撲だが、2016年初場所で大関の琴奨菊が日本人力士で10年ぶりの優勝を果たすと、相撲は連日満員御礼の大復活を遂げた。近年はモンゴルをはじめ、欧米出身の力士の活躍が目立つ相撲界だが、海外で相撲人気が高いという話は聞いたことがない。悪意のある言い方をすると、相撲は太った男たちが裸で組み合う格闘技であり、文化的に馴染みがない国からすると奇異の目で見られていてもおかしくはない。海外の反応を現地在住ライターがリポートする。

※この記事の内容は現地在住者自身の経験と知見に基づくものであり、HowTravelの主張を代弁するものではありません

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【ロシア】ロシアで相撲は人気はまだないが、興味は高い

(現地在住ライター チェルカーソワ・ユーリヤ

ロシアは昔からの日本好きな国で、日本の競技の空手や柔道は非常に人気が高い。スポーツジムで、それらプログラムに含まれていないところはほとんどなく、小学校から教える学校もある。また、プーチン大統領をはじめ、日本の競技は何かしら習ったことがある男性は全体の40%も及ぶ。

しかし、相撲も教えているところはあるにしても、人気はやはりない。「相撲」という単語は当然知られているが、競技の話題で使われているのではなく、太っていることのたとえとして多く使用される。

しかし、まったく興味がないと言うことではない。日本の文化が紹介されるフェスチバルなどで、ロシア人の若い選手が相撲を取ることがあるが、その際には、他の競技より多くの人が集まり、写真やビデオをとる。ただ、スポーツを観る感覚ではなく、物珍しい見方で目を大きくして観ていると言った方が良いだろう。この興味があるうちは、ロシア人の選手が活躍すれば人気が上がる可能性はある。

【アメリカ】アメリカ中西部、田舎での日本の相撲への考え方

(現地在住ライター MEEk まゆ

日本を代表するスポーツ、格闘技の相撲。私が住むアメリカ中西部の田舎での認知度はとても低くどちらかと言えば見下されている感じだ。日本人は欧米人に比べ体も小柄で背も低めなのに何故あそこまで太っているのか?太っている人達の為のスポーツだと思われている。

日本に「すもう」と言うものがあるのはTVの影響でそこそこ知られている。が、相撲という言葉自体知らない人も多くいる。太っている男性がほぼ裸でぶつかり合っているだけのものでなぜわざわざほぼ裸で挑んでいるのか?恐らくそこまで考えている人達も少なく「すもう」自体どうでもいい物の類に入っているのだろう。相撲人気も何も、こちらのローカルニュースで相撲が報道されているのを見た事がない。アメリカ人力士も数名いるが知られていない。

私の息子が小さい時に、体が大きかったので、「将来はスモウレスラーだな!」と言われた事がある。ジョークで、体が大きい、太っている日本人=スモウレスラーのようだ。

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海外では相撲を知る機会が少ない

(HowTravel編集部)

海外の匿名掲示板情報をまとめているサイトを見ると、相撲は海外でも絶賛されているかのような印象を受けるが、現地ライターのリポートを見る限りでは、相撲を正しく認識していない人も少なからずいるようだ。

海外で相撲の情報を得る手段が限られている。海外で相撲中継を観る手段としてはNHKワールド プレミアムとネット中継が挙げられる。NHKワールド プレミアムは要契約の「海外の日本人向け日本語テレビ放送」であり、外国人の視聴率は低い。また、ネット中継はそもそも相撲を観たい人向けであり、相撲をあまり知らないという人には敷居が高い。海外の地上波テレビではモンゴルのウランバートル放送以外は中継しておらず、これも2008年時点では7局が中継していたことを考えると、人気の凋落が著しい。

日本人としては大変歯がゆくはあるが、「海外で相撲は人気があるのか」という問いに対して、現地ライターから、「そもそも海外では相撲は正しく認識されていない」というリポート結果がきたのも、情報に触れる手段がなくては仕方がないことかもしれない。