2015年1月7日にパリで発生した、風刺週刊誌を発行している「シャルリー・エブド」への襲撃テロによって、フランスは全土でテロへの警戒態勢を強めてきたが、2015年11月13日の130名が亡くなったパリ同時多発テロ事件や2016年7月14日に発生したニーストラックテロ事件を防ぐことはできなかった。特に、ニースのテロで亡くなった84名のうち大半は観光をしていた旅行者であり、フランスへ旅行するうえでテロへの不安は尽きない。これまでのテロを経て、フランスの警戒状況はどうなっているのか、観光をするうえで旅行者への影響はあるのか等、HowTravel現地在住ライターがリポートする。

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目次

パリ旅行に与えるテロの影響最新情報(2016年7月27日現在)

(現地在住ライター 竹内真里

7月14日に起きたニースのテロを受け、フランス政府は非常事態宣言を6ヶ月延長したばかりだが、7月26日北部ノルマンディー地方のサンテチエンヌデュルーヴレの教会でナイフを持った男2人が人質をとり、神父の喉を切り殺害する事件が起きた。オランド大統領はテロ行為と断定し、同日夜のニュース番組に出演したヴァルス首相は「戦争は長く続くが、我らが勝利する」と話した。

頻発するテロに現地人も心を痛めているが、普段通りの日常生活を送っている。「人生は楽しむためのもの、生きなくちゃ」という言葉をここではよく耳にする。彼らの心の中に全く不安がないと言ったら嘘になるだろうが、テロに屈しないという強い気持ちが感じられ、自らの行動範囲を狭めたり制限するようなことはしていないように見受けられる。特に現在のパリは夏のバカンス真っ只中ということもあり、通常に比べ街は交通量も減り、住宅地は閑散とした雰囲気だ。パリジャンは予測不能な事態の心配をするよりも、心待ちにしていたバカンスを各地で思い思いに過ごしているのだろう。

人の多い観光地、メトロではスリに注意するなどの基本中の基本に加え、非常事態宣言下にあることを忘れず、常に警戒心を持って行動しよう。置かれた状況で何かおかしい、怪しいと感じたらその場を離れること。セキュリティー対策のため、多くの観光施設や商業施設の入口での荷物チェックを続行中だ。入る際はバッグを開けて係員に見せる。また、イベント開催中につき警察官が警戒中のエリアを通行する際、水筒を所持していると不審な液体物でないか確認のため、その場で飲まされることもある。
 
別の注意事項として、この季節、特に8月はパン屋などの商店も長期休みを取り閉まっていることが多い。公共交通機関のバスの運行間隔も開き、待ち時間が長くなる。全体的に通常時に比べ物事の進むペースが遅くなることを心に留めておこう。

●現地で事件に巻き込まれたら

(HowTravel編集部)

事態が急変する可能性もあるので、大使館の場所や連絡先はしっかり確認しておこう。現地の情報収集を行い、安全第一で観光したい。

■在フランス日本国大使館
TEL: +33 1 48 88 62 00
住所: 7, Avenue Hoche, 75008, Paris, France
開館時間:月曜-金曜の9:00-13:00、14:30-17:00





パリ同時多発テロ事件直後の状況(2015年11月13日時点)

現地時間2015年11月13未明、パリで大規模なテロが発生し、事件から半日で150名を越す死者が出ている。今後も死傷者数は増える見込みだ。このテロは、パリ市内各所で同時多発的に生じており、今後も発生する可能性がある。 オランド大統領は国境封鎖を宣言しており、入国・出国の情報にも気を付ける必要がある。 パリの様子と観光・旅行への影響を現地からレポートする。

●事件現場や人が集まる場所は避け、要警戒注意

(現地在住ライター 高良(ガエタ)里美

パリ市街はこの多発同時テロ事件に震撼していて、ショック状態である。今回のテロの影響はとても大きく、観光に多大な支障があるだろう。現在パリの公共施設(美術館、学校、体育館、マルシェなど)はすべて閉鎖していて、今後どうなるかは未定である。

パリ在住の住人に必要以外の外出を避けるよう呼びかけがかかっている。11月13日から一夜明けたパリは騒然としていて、事件があった場所10区および11区ではテロ銃撃の跡が露わで、とてもひどい状態。事件があった場所は閉鎖されているが、地域住人は事件の傷跡を見ることを避けられない状態である。

かなりの警戒態勢に入っている。観光する際、色々な所で荷物を調べられたり時間がかかることを予想したほうがいいだろう。パリ10区及び11区において事件が起きているので、周辺は重要警戒態勢が敷かれている状態のため、避けることが望まれる。どこで何があるか予測不可能なため、人が多く集まるカフェやコンサート会場などに行く場合はかなりの警戒が必要だ。

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●パリテロ事件直後の現地情報

(現地在住ライター 早川裕子

テロ事件から3日目である本日のパリは徐々に正常な状態に戻ってきている。週末中閉館の大部分の美術館、博物館、デパート等の多くは月曜より開館。ただし今後開催が予定されていたU2のコンサート、写真展示会のParis Photo等は中止となった。

現地新聞は土曜の時点で「パリ中心地における戦争」(ル・フィガロ)や「パリでの恐怖」(リベラション)を見出しにしていたが、本日になり捜査が急ピッチで進行する中、ベルギー在住のイスラム過激派による犯行の可能性を報道した。

観光の際の注意点としては、訪問予定場所の例外的閉館がないかどうかを予め調べておくこと、開館している場所は相当の待ち時間が考えられること、さらに空港では荷物検査強化が予想されるため時間に余裕を持って到着すること、などが挙げられる。外出の際は今まで以上に注意すること、そしてバス・メトロ等の公共交通機関よりもタクシーを利用されることを推奨する。