大統領がトランプ氏に代わり、アメリカが北朝鮮に対して強硬的な姿勢を見せている。北朝鮮の従来からの友好国である中国に対してアクションを求め、北朝鮮近辺に空母を派遣するなど、かつてない圧力をかけている。

緊張感が増す朝鮮半島について日本では連日報道がなされているが、韓国、アメリカではどのように報道され、どのように受け止められているのか。韓国とアメリカ現地在住ライターがリポートする。

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目次

【韓国】韓国現地では「いつものこと」

(現地在住ライター キムハナ

結論から言うと、韓国では日本ほど騒がれてはいない。それは一般人もメディアでも同じだ。

まずメディアでは北朝鮮のニュースよりも5月9日に行われる大統領選挙や朴槿恵関連のニュースのほうが遥かに多い。この記事を書いている4月26日現在まで、15日の太陽節や25日の軍創設記念日は少しニュース量も多くなったような気はするが、それでも特集を組んだりするほどではなかった。インターネットの検索ランキングでも上位は大統領選挙関連や芸能関連が占め、10位にやっと北朝鮮関連の単語がランクインしたほどである。

実際の現地の人の反応はというと、もちろん個人差はあり関心のある人は気にしているのかもしれないが、少なくとも筆者周辺の韓国人はほとんど関心を持っていなかった。関心を持っていないどころかこの話題自体初めて聞いたという人もいるほどである。

韓国人の夫曰く、そこまで危険な状況なら国民に避難を促すなどの連絡がくるはずであるし、そもそも北朝鮮も下手に手出しするのは自滅に繋がることくらい分かっているのでただの威嚇、「いつものこと」とあっけらかんとしている。

【韓国】緊迫感はほとんどない

(現地在住ライター キム・ヒョンジ

韓国内での北朝鮮問題の報道のされ方は、日本と比べると緊迫感が薄いと感じられる。4月25日の朝鮮人民軍創建85年の記念日が最大の山場と言われてきたが、その前後の報道に於いても、比較的落ち着いた報道がされている。

現在韓国は大統領選挙の真只中であり、北朝鮮問題も勿論、選挙の争点となっている。左派系の候補からすれば、北朝鮮問題の悪化は逆風となる。かと言って、危険をむやみに煽ると反感を買う恐れがある。その為、淡々とした報道がなされ、国民の不安を煽らないようにしているようだ。

また、韓国内のメディアでは、日本の外務省が注意喚起を行ったことや、安倍首相の北朝鮮問題の答弁などに反発する報道がされた。日本が北朝鮮問題を煽っているというのだ。北朝鮮と戦争になった時には、日本の何倍も被害が有ると言うのに、一般市民達も普段と何も変わらない日常を過ごしている。いつ戦争が起きてもおかしくないと言うのに、極めて吞気な国民である。

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【アメリカ】かつてないほどの注目を集めている北朝鮮問題

(現地在住ライター 長谷川サツキ

北朝鮮問題はアメリカにとっていずれ解決すべき問題と認識されつつも、これまでは何かと後回しにされてきた。物理的に距離が遠いこと、そしてロシアやシリアなど他の緊迫した国際問題が常にあったためだ。アメリカ国民の北朝鮮問題への関心もさほど高くはなかった。

それがトランプ政権になり、北朝鮮に対して一気に強靭な姿勢を見せたことで、現在国民の注目度はこれまでにないほど高まっている。北朝鮮関連の報道は連日ニュースのトップを飾り、中にはアメリカが北朝鮮への攻撃に踏み切った際の韓国や日本への影響を懸念する記事もある。

そしてアメリカ国民は、北朝鮮問題に関してはトランプ大統領の強靭な姿勢に賛同している声が多い。もちろん反対する意見もあるが、長年くすぶっていた北朝鮮問題にここで蹴りをつけるべきで、そのためには武力を行使することもやむを得ないと考える人が多数派のようだ。