お正月といえば、かつての日本では紅白を観ながら大晦日を過ごし、ゆく年くる年を観ながら年を越し、お正月にはお年玉をもらって親戚挨拶を行うという流れが一般的だったが、徐々に大晦日の過ごし方も多様化している。実際Video Research社によると、ゆく年くる年の視聴率は1998年は28.9%であったのに対し、2003年は26.4%、2015年は22.6%と低下の一途をたどっている。近年では、年越しのイベントやパーティーに参加して、花火等を打ち上げて盛大に年越しを祝う人も増えている。

海外ではどのように大晦日とお正月を過ごすのか、現地在住ライターがリポートする。

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【アメリカ】休みはたった1日!盛り上がりに欠けるアメリカの新年

(現地在住ライター 長谷川サツキ

11月下旬の感謝祭を皮切りに、アメリカは大型のホリデーシーズンに突入する。お正月にあたる1月1日はその終焉にあたるのだが、一番の盛り上がりは直前のクリスマスに持っていかれてしまうため、元日は正直全く盛り上がらない。伝統的なイベントもなく、せいぜいニューヨークで行われるカウントダウンをテレビで見るくらいしかやることがないのだ。

年末年始の祝日も元日のたった1日のみ。12月31日まで働き、1月2日にはもう仕事初めだ。大晦日に同僚と「よいお年を」と言って別れても、2日後には顔を合わせるのでどうにもホリデー感に欠ける。伝統的な文化を再認識できる日本のお正月に比べ、アメリカの年越しは何とも物足りないのだ。

ただし小学校や中学校ではクリスマス前から新年明けまで2週間程の冬休みがあるので、子供に合わせて有給休暇を取って旅行に行く家庭も多い。新年は単体のイベントというより、ホリデーシーズンの一部として認識されている祝日なのだ。

【フランス】大晦日は出かけてカウントダウン、元旦はのんびり

(現地在住ライター 竹内真里

クリスマスは圧倒的に家で家族と過ごすという人が多かったのに比べ、大晦日とお正月の過ごし方はさまざまだ。筆者の周囲では、

・冬休みをクリスマスから取り、大晦日やお正月も引き続き休暇先で過ごしてからパリに戻る
・普段より高級なレストランに食事に行く(大晦日用のスペシャルメニューがあるところも多い)
・セーヌ川のディナークルーズに行く
・馴染みのバーで飲んで食べて踊り明かす
・好きなコメディアンの年越しライブを観に行く
・ディズニーランドに行く
・ディナー付きサーカスを観に行く

といった具合に、大晦日の夜は出かける人が大半だった。元旦はゆっくり起き出しのんびりするらしい。静かにゆく年くる年に思いを巡らすというよりも、にぎやかにお祭り気分で新年の訪れを祝いに出かける人が多いようだ。ちなみにお年玉の習慣はなく、離れている家族や友人への新年の挨拶はメールや電話でする。

シャンゼリゼやエッフェル塔など人の多く集まる場はもちろんだが、この日はアルコールの瓶を片手に直飲みしている人の姿をちらほら見かけ、翌日は割れた瓶の破片が道路に散らばっている。悪ふざけする人も多く出る日なので、滞在予定の方は留意しよう。

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【韓国】日本ほど年末年始感は感じられない韓国

(現地在住ライター キムハナ

日本で正月と言うと、いつもとは違う特別な雰囲気を感じられる1年最初のビッグイベントである。

韓国でも一応正月は祝う。しかし旧正月がメインであるため新暦の正月は日本ほど行く年来る年の雰囲気は味わえない。年末年始休みというものもなく、1月1日だけは休みにはなるものの、12月31日も1月2日も平日であればいつもの日常に戻る。

全く年末年始の雰囲気がないのか?と言われるとそういう訳ではなく、大晦日には「よい年をお迎えください」と挨拶をしたり、1日早朝には初日の出を見に行く人も多い。そして韓国式の雑煮も元旦に食べる。韓国では雑煮を元旦に食べて年を取ると言われており、韓国では1月1日に一斉に年を取る。最初はかなり不思議だった韓国の風習だ。

このように韓国の年末年始はあっさりと過ぎていくため、在韓日本人は日本の大晦日と正月のあの独特の雰囲気を恋しがっている人が多いようだ。