本来はイエス・キリストの降誕を祝う祭りであるクリスマスだが、非キリスト教国である日本においても一大イベントとなっている。特に、カップルや付き合う手前の男女にとっては重要な日だ。イルミネーションをみに街へ繰り出し、豪華なクリスマスディナーをレストランで楽しむというのは定番の流れだ。また、友達同士でパーティーを開き、サンタクロースのコスプレをしてプレゼント交換をするといったこともあるだろう。いずれにしても、キリスト教的な要素はほとんど見当たらない。

キリスト教国である、本場欧米ではクリスマスをどのように過ごしているのだろうか。現地在住ライターがリポートする。

【クリスマスの参考に】世界各国、海外での定番プレゼントはこれだ!

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【アメリカ】家族が集まって絆を深める、その年最後の祝日

(現地在住ライター 長谷川サツキ

12月に入るとアメリカはクリスマス一色となる。色とりどりのイルミネーションがあちこちに灯り、町中が華やいだ雰囲気になるのは日本と一緒だ。しかしその過ごし方はだいぶ異なるようだ。

イブこそ本番といった雰囲気の日本と違い、アメリカはあくまで当日がメイン。家族全員が揃ってゆったりと過ごす。イブの夜は家族でミサに出かけて教会で賛美歌を歌い、クリスマスディナーはローストビーフやハムステーキなどの肉料理を食べる。そしてクリスマスに外せないデザートはといえばケーキ、ではなくクッキーだ。子供達はサンタさんにもおすそ分けのクッキーとミルクを用意して床に就く。

クリスマスプレゼントは家族がお互いに、しかも一人当たり何個も贈り合う風習がある。そのためクリスマスの朝は、クリスマスツリーの根元に置かれたプレゼントの山に子供達が大喜びする。そんな我が子の姿を大人達は目を細めて見守り、普段忙しいパパもその年最後の休日をゆっくりと家族と過ごす。アメリカではクリスマスは家族の絆を深める大切な祝日なのだ。

【フランス】家族と過ごす、1年で最も重要なイベント

(現地在住ライター 竹内真里

フランスでは多種多様な国籍の人が住んでいるが、宗教はキリスト教徒(カトリック)がメジャーだ。11月も下旬にさしかかる頃から、街や商店などはイルミネーションやクリスマスの飾り付けでキラキラと輝き始める。

さて、一般的なフランス人はクリスマスをどのように過ごすのか。日本の大晦日、お正月と同じで、故郷を離れて暮らす人は里帰りし、家族と共に過ごす。プロヴァンスの親戚の家に行くと、クリスマスツリーと、イエス・キリストが生まれた馬小屋を再現したクレッシュという飾りがなされている。土で作られたサントンという小さな人形が多数並び、イエス、マリア、ジョセフの他に、馬や羊、村の人々らなどで構成されている。クレッシュは教会でも飾られている。

敬虔な信者は教会に行きミサに出席するが、信仰具合による。筆者の親戚知人においては、カトリックとして洗礼を受けていても実際に教会に足を運ぶ人は少なく、クリスマスも飲み食いお喋りに徹する人が多い。

24日の夕食と25日の昼食が豪勢だ。フォアグラ、キャビア、ロブスター、牡蠣、チキンの丸焼き、チーズ、シャンパンなど、普段より高級な品をゆっくりと時間をかけていただく。デザートはチョコレートや日本でもおなじみのブッシュドノエルがあるが、アイスでできているものも好まれている。ちなみにプロヴァンスではドライフルーツを主とした13種のデザートを食べる習慣もある。25日0時になったら、先ほどのクレッシュに赤ちゃんのイエス・キリストのサントンを置く。そして再び皆が揃う翌朝か25日の昼食時に、枕元やツリーの下に準備しておいたプレゼントを開ける。この開けるタイミングは家庭によって微妙に異なるようだ。プレゼントは子どもだけでなく、大人も交換し、日頃の愛や感謝を示す。

この時期フランスを訪れる方は、それぞれの街でクリスマスの市が開かれているので足を運んでみてはいかがだろうか。地方ごとに特色があり、前述のサントン人形はマルセイユのカヌビエール大通りに各職人が店を出す。一体一体微妙に表情や色付けが異なり、手作り感が楽しめる。

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【イギリス】家族のためのクリスマス

(現地在住ライター バックリー佳菜子

日本のクリスマスは恋人とレストランに行くなどロマンチックに過ごすイメージが強く、その過ごし方はイギリスのバレンタインデーの過ごし方に近い。対するイギリスのクリスマスの過ごし方というと日本のお正月に近いといえる。両親のいる実家に家族を連れ帰省し七面鳥のローストなど大人数で食べられる料理を作りみんなでテーブルを囲むのが一般的な過ごし方だ。

クリスマスプレゼントも日本のように一点豪華主義でパートナーに買うという習慣ではなく、クリスマスの朝に家族それぞれに複数のプレゼントを渡しあうので、それぞれがかなりの出費と手間をかけてプレゼントを用意する。秋になると各デパートやスーパーではクリスマス商戦の激しさが増していくのはもはや風物詩となっているのである。